2つともまだこれからの学問分野であり、現代社会に於いて大変緊急かつ期待されている研究専門領域だと思います。まったく2つの研究対象は、前後はあるが人間への対象は同じといえます。社会環境学は、設立趣旨で「本来、人が人として拠って立つところの社会は如何にあるべきかを原点から問い直し、誰もが人間らしく真の豊かさを享受できる『社会環境』を模索し、研究成果を広く社会に提言する」ことを出発点にしています。
一方、スピリチュアル学を提唱している窪寺俊之氏は「スピリチアルテイは、人を包み込む大きなもの、人間を超えて人を生かすもの、などがイメージされ、…人に生きる生命力、土台を与えるものという意味にもなる」。と常に述べています。その結果、『終末期のがん患者へのスピリチユアルケアは、宗教界のなかで行われてきたものから医療界のなかに取り入れられたものです。これからは社会学などへも拡大すべきである』とも述べています。
わが国の現代社会は病んでいます。荒木重雄会長が主張している「市場原理・競争原理至上主義による価値観の単一化や経済効率一辺倒の価値観からの脱却」、を『人間と社会』」にスポットをあてた研究と対応が求められています。
残念ながら「スピリチュアルケアやスピリチアルテイ」と言う言葉の日本語は上手く訳されていません。せめてスピリット(spirit)は、spiritusのラテン語からで精神とか心そして酒とも訳されています。もうひとつは「霊」と訳され、辞書にはspiritualとは、精神の、霊的な、魂の、などの訳があり、テレビ番組の影響によって正しく理解されずに誤解が増幅されています。本当のスピリチュアルケアの役割は「宗教の教義を超え患者個人に対しそれを超越した癒された自分らしい回復」を求めるものです。これらの考えや手法をこれからこの2つの学問のなかにどう関連づけ、取り入れ、融合が図れるかが課題と認識しています。