航空事故の予測や事前の警告は難しい。昔ある航空会社の社長が「120%の安全はいらない」と、事故後のインタビューや労働組合の要求に対し答えていたのが印象的でした。
確かに100%以上の安全の必要性はないが、定義や投資額とは別に何か虚しさを感じさせる無責任な体質が誘引、要因となっていくのだろう、との思いをその時もちました。
私は航空経済学を学び、過当競争や利用者(国民)不在の施策は、経営が黒字化しているからといって安心できないことを訴えてきました。もちろん経営が不安定では安全投資は困難です。技術論優先でもいけないし、そのバランスが大切です。
昨今の航空インシデントのニュースは、メディアからの安全に対する利用者側からの警告でもあると思います。毎日毎日乗務員や整備員そして安全を支えるスタッフたちの努力があってこそ地上の交通機関より安全な乗り物であることを数字でも証明しています。
ただ物言えない社内や社会の雰囲気とかトップの安全に対する姿勢や認識が低下すれば、現場の緊張は緩んでしまいます。事故原因は直接要因ばかりでなく、間接要因とが一体となって発生するのです。再度昨今の航空ニュース報道を聞いて、見ていて命の大切さより欲望に対しては反省し、真剣に対応することを望むものです。