映画は1、自分を投影したり、2、未知の世界に誘ってくれたり、3、世相(社会)を批判したり、4、人生を反省させてくれたり見直すことに繋がることである。
「万引き家族」(是枝監督)は2~4のことと思える。しかしどう考えてこの映画を製作したのだろうか。映画雑誌では「家族それぞれの秘密が明かされた時、未体験の衝撃と感動が押し寄せる」と書いてあった。
泣ける映画ではないが、あまり感動も無かった。しかし何か今までの映画と違う。主演の安藤さくらは「カメラが普通でない,別のシーンを撮っている」、と朝日新聞のインタビューで答えていた。狭い部屋でのセックスシーンもそうだし、涙を流しながらの警察での調書シーンでもそうだった。
それが何故外国人に受けたのか?
現代日本の文化も入っているが、生活保護以下の生活でも笑顔や家族の絆を感じたからだろうか!家族6名が血縁だけでもない心温まる生き様(絆)があったからだろうか!それとも万引きをしなければならない状況を生活の一部にしていたユニークな事例だったからだろうか!そうなると現代日本の貧困社会への警告やアピールだったのだろうか!いや世界の貧困社会への警告や批判だったのかも知れません。
一度でなく数回*見ないとわからない深い映画と思う。
@写真はミャンマーのタチレイク市の貧困地区で。
*この映画を2回見た。今まで2回以上見たのは「ビルマの竪琴」ぐらいだ。ただ1回目は混雑していたのとその日の調子がよくないのか、主演のリリー・フランキーの性格か音声が聞きづらくまたストーリーの場面・場面がわからず繋がってこなかった。2回目は一番後ろの席でゆっくり鑑賞できた。是枝氏は著者であり映画監督兼脚本でもあるので非常に繊細な描写と台詞に唸った。結構台詞と場面描写に西洋人たちも感動したのだろう。もちろん英語の字幕でしたが真髄をついた表現だった。
映画製作の助成金がどうだ。政府の表彰がどうだ、内容が反日的だ・・・。と、マスコミのインタービューの会話等からの非難誹謗中傷もあるようだがそれだけ影響力と価値のある「万引き家族」だと言うことだ。