日本の原発事故の《人災》は明解なことです。タイ中部の洪水も《人災》といっていいでしょう。
私が知っている今般の洪水の施策ミスは、以下の5点です。
①は、運河の埋め立てです。過去に道路を作るためにドイツのコンサルタントの意見をタイ政府が受け入れた結果、新たな渋滞が発生したり、行き止まりになっている道もあります。一番の問題は今回のような水害です。道路優先による治水対策のミスでしょう。
②は、最近まで植林より伐採を優先してきました。その後政策を転換してもチークの木をはじめ高木の成長は遅々たるものです。地球温暖化の加害者側です。又、日本と同じように山道も川岸もどんどんコンクリートにしてきているためバケツをひっくり返すような水に排水路や河川は対応できません。タイ北部でも鉄砲水により道路や橋が決壊しているところを見ました。
③は、進出日本企業の被害が報道されていますが、自然の<想定外の水量>というより《水の都タイ》ということを知っていない進出日本企業側の甘い認識やタイ政府の水害施策不足とが重なっていったためでしょう。
④は、タイの高床式住宅は歴史的な水害対策からの発想です。治水対策が無いなかでコンクリートの数階建て家屋の普及やビルの普及も問題を加速させていることでしょう。
⑤は、日本と同様にまだまだ政情不安定なため施策が後手後手になっていることは否めないでしょう。
以上のような経済優先社会と政情不安定時代の弊害が露呈した結果と言えます。その解決はそれらの施策の反省と新たな生活基盤優先の確立にあります。